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建礼門院右京大夫集 現代語訳
332 - 333 迷ふらん/かきこもる
大宮の入道内大臣がお亡くなりになった頃、その子である公経の中納言が引き蘢って、五節などにも参上されなかったが、いろいろの櫛の模様のある白薄様に書いて、ある人が見舞いの歌を送ったが、その代理として、
迷ふらん心の闇をおもふかな豊(とよ)のあかりのさやかなるころ
思い乱れていることでしょう。暗く悲しいあなたの心の内をお察しします。宮中では豊明の節会の華やかな頃ですが。
返し
かきこもる闇もよそにぞなりぬべき豊の明りにほのめかされて
引き蘢っている私の暗い心もよそごとになりそうです。豊明の節会の華やかさにほのかに気持ちを明るくされて。
メモ
大宮の入道内大臣 藤原実宗。
公経の中納言 藤原実宗の子、藤原公経。