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建礼門院右京大夫集 現代語訳
265 - 266 あけがたに/あはずなる
四月二十三日、夜の明け離れる頃、雨が少し降っていたが、東の方、空に時鳥(ホトトギス)の初音が鳴きわたるのを、珍しくもあわれにも聞くが、
あけがたに初音きゝつる時鳥しでの山路(やまじ)のことをとはゞや
明け方に初音を聞いたホトトギスよ。お前に死出の山路のことを問いたいものだ。
あはずなるうき世のはてに時鳥いかで鳴く音(ね)のかはらざるらむ
あの方(平資盛)に逢えなくなっている、つらいことの多い世の果てに、ホトトギスはどうして鳴く声が昔と変わらないのでしょうか。
メモ
時鳥 時鳥は冥府の鳥。
「あはずなる〜」は『玉葉和歌集』雑一に所収。