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建礼門院右京大夫集 現代語訳

263 - 264 いかにせん/ながめわぶる

殷富門院(いんふくもんいん)が皇后宮と申した頃、その御方にお仕えする上臈が知り合う縁があって親しくつきあっていたが、出会って、終日物語りして帰られた後の名残惜しい気持ちに、雨が降って、物哀れである。この人も、格別に自分と同じ筋合いのものの物思いする人である。懐かしくもあり、さまざまそれも恋しく思い出されて、申しやる。

いかにせんながめかねぬる名残かなさらぬだにこそ雨の夕暮

どうしたらよいのしょう。雨の夕暮れはそうでなくても寂しいのに、あなたが去った後の名残惜しい気持ちで、眺めていられないほどです。

返し

ながめわぶる雨の夕べにあはれ又ふりにしことをいひあはせばや

しみじみと眺めていられないほど侘しい雨の夕暮れに、ああ、また昔のことを語り合いたいものですね。

 


メモ

殷富門院 後白河天皇の皇女。御名亮子。安徳天皇、後鳥羽天皇の准母。

後鳥羽天皇 高倉天皇の第四皇子。安徳天皇の異母弟。


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