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建礼門院右京大夫集 現代語訳
257 うらやまし
まだ夜の明けないうちに、都へ出る道は志賀の浦にあるが、入江に氷が張っていきながら、寄せてくる波がすぐに凍ってしまって帰らない心地がして、薄雪が積もって、見渡してみると、白い布のようである。
うらやまし志賀のうらわの氷とぢかへらぬ波も又かへりなむ
志賀の浦廻は氷が閉じこめ、寄せてくる波がすぐに凍ってしまって帰らないようだが、その波もまた時節が来て氷が解ければ帰ることでしょう。あの方(平資盛)が帰ってくることはないので、うらやましいことです。
メモ
志賀の浦 琵琶湖の湖岸。