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建礼門院右京大夫集 現代語訳
252 何ごとを
日吉へ詣るが、雪が空が暗くなるほど強く降り、輿の前板にひどくたくさん積もって、通夜した夜明けに、宿へ出る道すがら、すだれを上げたところ、袖にも懐にも、横の方から降ってくる雪が入って、袖の上は払ってもすぐにまだらに凍る。趣深いが、見せたいと思う人(平資盛)がいないのはあわれである。
何ごとを祈りかすべき我袖の氷はとけんかたもあらじを
どんなことを祈ればよいのか。私の袖の涙の氷は解ける方法もあるまいに。
メモ