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建礼門院右京大夫集 現代語訳

230 ことゝはむ

夏の深い頃、常にいた部屋の引き戸は、谷の方で、見下ろしたところ、竹の葉が強い日射しに縒られたようで、まことに土が裂けて見える世の気配にも、私の袖が乾くことがあろうかと、また涙で胸がくもると、ヒグラシが茂った梢にかしがましいほどに鳴き暮らすのも、友であるような心地がして、

ことゝはむなれもやものを思ふらむもろともに鳴く夏のひぐらし

訊ねてみたい。お前も物思いのために終日ないているのだろうか。私と一緒になく夏のヒグラシよ。

 

メモ

 


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