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建礼門院右京大夫集 現代語訳
202 - 203 雲のうへに/かげならべ
高倉院がお隠れあそばれたと聞いた頃、お見馴れ申し上げた御治世中のことが数々思われて、及ばぬことながらも、限りなく悲しくて、「何事も実に末世にもったいないくらいの御有様であったことだ」と、人が申すにも、
雲のうへにゆくすゑとほくみし月の光きえぬときくぞかなしき
宮中で行末長くお栄えするとものと見ていた主上の光が消えたと聞くのは悲しいことです。
中宮(建礼門院)の御心の内を推し量り申し上げて、どれほどであろうかと悲しい。
かげならべ照る日の光かくれつゝひとりや月のかきくもるらむ
光輝やく御姿を並べていらっしゃた主上がお隠れあそばれて、一人お残りになった中宮さまは涙にかきくれていらっしゃることでしょうか。
メモ
「雲のうへに〜」は『新続古今和歌集』哀傷に所収。