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建礼門院右京大夫集 現代語訳

130 - 131 なつ衣/さきの世の

何事も隔てなくと申し契っていた人(平資盛)のもとへ、思いの外に物思いが加わって後、さすがに、このようにともまた申し上げにくいのを、どのように聞いていられるのだろうかと思われたので、

なつ衣ひとへにたのむかひもなくへだてけりとは思はざらなむ

ひたすらあなたを信じているのに、その甲斐もなく、あなたを遠ざけているのだとは思わないでください。

さきの世の契(ちぎり)にまくるならひをもきみはさすがに思ひしるらむ

前世の約束には負けるという世のならいを、あなたはさすがによく知っているのでしょう。

 


メモ

平資盛 平重盛の次男。平清盛の孫。平維盛の弟。

夏衣 「ひとへ」をみちびきだす序。


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