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建礼門院右京大夫集 現代語訳

110 あさくらや

安元といった初めの年の冬、賀茂祭の臨時祭に、宮(建礼門院)が上御局へお上りになったお供に、差し支えることがあって参ることができず、あれほど心にしみて見たいと思っていた還り立ちの御神楽も見れなかった。悔しくて、お硯の箱に、薄様の端に書き付けておく。

あさくらやかへすがへすぞ恨みつるかざしの花のをりしらぬ身を

臨時祭の時節だと知らずに、こうなった我が身が、かえすがえすも恨めしい。

 


メモ

安元 承安の後、治承の前。1175年から1177年まで。高倉天皇の時代。

上御局 うえのおつぼね。中宮が清涼殿に参上された時の御部屋。

薄様 薄手の雁皮紙。


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