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建礼門院右京大夫集 現代語訳
106 - 109 いかばかり/旅衣/とこのうへも/日にそへて
いかばかり枕のしたもこほるらむなべての袖もさゆるこのごろ
普通の人の袖も冷えるこの頃、まして涙に濡れるあなたの枕の下はどんなにか凍っていることでしょう。
旅衣たちわかれにしあとの袖もろきなみだの露やひまなき
お別れになった後の袖のうえは、こぼれる涙のやむ時もないことでしょう。
返し
とこのうへも袖も涙のつらゝにてあかす思ひのやるかたもなし
床の上にも袖にも涙の氷柱ができて、夜を明かす思いの晴らしようもありません。
日にそへてあれゆく宿を思ひやれ人をしのぶの露にやつれて
亡き夫をしのぶ涙にやつれて、生い茂ったしのぶ草に露がおいて、日に日に荒れゆく宿を思いやってください。
メモ