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建礼門院右京大夫集 現代語訳
076 - 077 浦みても/住の江の
あれこれと私に物思いさせた人(平資盛)が殿上人であったころ、父の大臣(平重盛)の御共に住吉に詣でて、帰ってきて、洲のある浜辺の形を模して作った盤の上に貝どもをいろいろに入れて、忘れ草をおいて、結びつけられていた歌。
浦みてもかひしなければ住の江におふてふくさをたづねてぞみる
あなたのつれなさを恨んでも甲斐がないので、住の江に生えているという忘れ草をたずねてみました。
返し 秋のことであったので、紅葉の薄様に、
住の江の草をば人の心にてわれぞかひなき身をうらみぬる
住の江に生えているという忘れ草のように忘れるのはあなたの心で、私は思っても甲斐のない身なのを恨めしく思っています。
メモ
住の江におふてふくさ 住の江に生えるという草。忘れ草のこと。
薄様 薄手の雁皮紙。