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建礼門院右京大夫集 現代語訳

074 - 075 袖の露や/吹きわたる

この中将の君に、清経の中将(平清経)が情を通わせていると聞いたのを、ほどなく、同じ宮(式子内親王)に仕えている女官に思いが移ったと聞いたので、手紙のついでに、

袖の露やいかゞこぼるゝ蘆垣を吹きわたるなる風のけしきに

袖をどんなに涙で濡らしていることでしょう。蘆垣を風が吹いてわたるようにあの人が心移りしたと聞きますが。

返し、

吹きわたる風につけても袖の露みだれそめにしことぞくやしき

あの人の心移りにつけても、あの人の言葉を真に受けて心が乱れ始めたことが悔しくて、涙で袖が濡れます。

 


メモ

清経の中将 平清経。平重盛の三男。平清盛の孫。


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