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建礼門院右京大夫集 現代語訳

078 めぐりきて

大皇大后宮より、趣のある絵どもを中宮(建礼門院)の御方へ差し上げになられたなかに、昔、父のもとに人が手習いしたのでといって、言葉を書かせた絵が混じっていた。とても趣深くて、

めぐりきて見るに袂をぬらすかな絵島にとめし水茎のあと

絵に書きとめた父の筆跡が、めぐりめぐって中宮の御許に来たのを見ると、袂を涙で濡らします。

 


メモ

大皇大后宮 近衛天皇の皇后。藤原多子。

 藤原伊行(ふじわらのこれゆき)。能書家。

絵島にとめし 江島は兵庫県淡路市岩屋付近。「絵に書きとめた」の意を懸ける。 


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