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建礼門院右京大夫集 現代語訳

009 - 011 さそはれぬ/雲のうへに/もろともに

近衛殿が二位中将と申し上げた頃、隆房、重衡、維盛、資盛など当時殿上人であった方々を引き連れになって、白河どのの女房たちを誘って、所々の花をご覧になったといって、翌日、花の枝の格別なものを、花を見た人々の中よりといって、中宮(建礼門院)の御所へお参りになったので、

さそはれぬうさもわすれてひと枝の花にぞめづるくものうへ人

花見に誘われなかった憂さも忘れて一枝の花を雲の上人(中宮方の人々)は愛でています。中宮(建礼門院)の仰せで右京大夫が詠んだ歌。

返事                   隆房少将

雲のうへに色そへよとて一枝をおりつる花にぞめづるくものうへ人

中宮方に色を添えようとして一枝を折ってきました。その花を中宮方の人々に愛でていただけて嬉しいです。

                     資盛の少将

もろともにたづねてもみよ一枝の花にこゝろのげにもうつらば

私どもとともに花を訪ねてごらんなさい。一枝の花に本当に心が引かれるのならば。

 


メモ

近衛殿 藤原基通。

隆房 藤原隆房。平清盛の娘婿。

重衡 平重衡。平清盛の五男。

維盛 平重盛の嫡男。平清盛の孫。

資盛 平重盛の次男。平維盛の弟。

白河どの 平盛子。平清盛の娘。高倉天皇の御母代。


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