※本ページは広告による収益を得ています。

建礼門院右京大夫集 現代語訳

008 九重に

故建春門院の御ために、高倉天皇御手づから御経をお書きになられて、内裏で御八講(法華八講)が行われた五巻の日(法華八講の第3日)、女院たち(嘉門院、上西門院、八条院)、后の宮々、三条女御どの、白河どの(平盛子、平清盛の娘)など、みな御捧物をお奉りになられた。そちらの方に縁のある殿上人が持って参った様子はおもしろくも、あわれでもあったが、中宮(建礼門院)の御捧物は、二枝を、中宮亮しげひら、権亮これもりなどが持たれたと思われる。故女院がいらっしゃられた御所を取り払って、道場(供養を行う場所)にしつらわれた。しみじみとして、

九重(こゝのへ)にみのりの花のにほふけふやきえにし露もひかりそふらむ

宮中で法華八講が行われている今日は、亡き建春門院も仏果を得られていることでしょう。

 

メモ

法華八講 法華経八巻を4日に分けて講ずる法会。

五巻の日 法華八講の第3日。特別の供養が行われる。

白河どの 平盛子。平清盛の娘。高倉天皇の御母代。

しげひら 平重衡。平清盛の五男。


back next

 





ページのトップへ戻る