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建礼門院右京大夫集 現代語訳

114 とし月の

雪が深く積もった朝、里で、荒れている庭を家の中から見て 、今日来る人をと眺めながら、薄柳の衣、紅梅の薄衣などを着ていたが、枯れ野の織物の狩衣、蘇芳の衣、紫の織物の指貫を着て、突然戸を引きあけて入って来た人(平資盛)の面影は、私の(略装で季節外れのものを着ていた)様子とは違ってとても美しく上品に見えたことなどは、いつも忘れ難く思われて、多くの年月を経たけれども、心の中ではたった今のことのように思われる。思っても思っても気味の悪いほどである。

とし月のつもりはてゝもそのをりの雪のあしたはなほぞ恋しき

年月がずいぶん経っても、その折の雪の朝はやはり恋しく思います。

 


メモ

平資盛 平重盛の次男。平維盛の弟。平清盛の孫。


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