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建礼門院右京大夫集 現代語訳
070 - 071 さそはれぬ/風をいとふ
内(高倉天皇)の御方の女房、宮(建礼門院)の御方の女房が多数の車で、近習の上達部、殿上人を連れて、ともに花見をなさったときに、病気で交じらなかったのを、小侍従(こじじゅう)とかが、花の枝に、紅の薄様に歌を書いて添えて届けてくれた。
さそはれぬ心のほどはつらけれどひとり見るべき花のいろかは
誘われない心のほどはつらいですが、この花の美しさは我々だけで見るべきものではないので、お届けします。
風邪気味であったためのなので、返しに、このように差し上げた。
風をいとふ花のあたりはいかゞとてよそながらこそ思ひやりつれ
風をいとう花の様子はいかがであろうかとよそながら思いやっていました。
メモ
小侍従 高倉天皇に仕えた女房。石清水八幡宮護国寺別当光清の娘。歌人。
薄様 薄手の雁皮紙。
どちらの歌も『風雅和歌集』春二に所収。