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建礼門院右京大夫集 現代語訳
063 - 064 露のおく/物思へ
いつもよりも思うことがある頃、尾花の袖が露に濡れているのを眺めながら、
露のおく尾花(おばな)が袖をながむればたぐふ涙ぞやがてこぼるゝ
露がおいて袖を振るように靡くススキの穂を眺めていると、それにつられて涙が同時にこぼれてくる。
物思へなげくとなれるながめかなたのめぬ秋のゆふぐれの空
頼みにならない秋の夕暮れの空は、物思いせよと嘆くようにできている眺めであることだ。
メモ
尾花 穂の出たススキ。馬などの尾に似ているところから。
尾花が袖 ススキの穂が風になびく様が、人を招いて袖を振っているように見えるので、袖に見立てていう。
秋 秋に「飽き」を懸けている