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建礼門院右京大夫集 現代語訳

001 われならで

家の集などといって、歌を詠む人は書き留めることであるが、これは、決してそのようなものではない。ただ、あわれにも、悲しくも、なんとなく忘れ難く思われることどもが、ある折々ふと心に感じられたことを思い出されてくるままに、自分ひとりの目で見るつもりで書き留めておくのだ。

われならでたれかあはれとみづぐきのあともし末の世に伝はらば

私でなくて誰がしみじみとした気持ちでこの手跡を見るだろうか。もし後世にこの手跡が伝わるとしたら。

 


メモ

家の集 家集、私家集。ある個人の詠んだ和歌を集めた歌集。


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