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建礼門院右京大夫集 現代語訳
067 - 068 ものおもへば/とにかくに
かけ離れていくと、あながちつらいばかりではないが、なまじっか顔を見るのは、また悔しくも恨めしくも、様々に思うことが多くて、年も変わって、いつのまにか訪れた春の気配もうらやましく、鶯が訪れるのにも、
ものおもへば心の春もしらぬ身になに鶯のつげにきつらむ
物思いをして心の春も知らない身に、鶯は何を告げに来たのだろうか。
とにかくに心をさらず思ふこともさてもと思へばさらにこそ思へ
ともかくも、心を離れず思うことを、そんなに思わないでおこうと思うと、さらに一層物思いしてしまう。
メモ
「ものおもへば〜」は『玉葉和歌集』雑一に所収。