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建礼門院右京大夫集 現代語訳
054 - 055 秋きては/時わかぬ
中宮(建礼門院)の御方に仕える人を、公衡(きんひら)の中将がしきりに言いよっていたが、つれなくされて、思い悩んでいることを何度も訴えられたので、秋の初めに遣わした歌、
秋きてはいとゞいかにかしぐるらむ色ふかげなる人のことの葉
秋が来て一層どんなにか袖を濡らしていることでしょう。御心深げなあなたの言葉を伺いますと。
返し
時わかぬ袖のしぐれにあきそひていかばかりなる色とかはしる
始終袖を濡らしていたのに、秋の寂しさが加わって、どんなに思い悩んでいるか、おわかりでしょうか。
メモ
公衡 藤原公能の子。歌人