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建礼門院右京大夫集 現代語訳

122 うつり香も

とても長いこと訪れなかった頃、深夜に寝覚めて、とかくものを思う。思わず涙がこぼれたのであろうか。翌朝に見ると、はなだ色の薄様の枕が殊の外に色が変わっていたので、

うつり香もおつる涙にすゝがれてかたみにすべき色だにもなし

あの人(平資盛)の移り香も涙にすすがれて、形見にすべき色さえもない。

 


メモ

はなだ はなだ色。藍色の薄いもの。

平資盛 平重盛の次男。平維盛の弟。平清盛の孫。


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